子供の頃に読んだ漫画でこんな台詞があった。
「口が上手い奴は早死にするよ。頭が悪いからね。」
この台詞が強烈に頭に残り、口が上手いということは良くないことだと思って生きてきた。
この漫画に限ったことではないし、私に限ったことでもないだろう。日本むかし話では口下手なおじいさんやおばあさんがひどい目にあい、誰かが敵討ちをするという定番のストーリーがあるし、日本人男性は寡黙が尊ばれる風潮がいまだに根強いと思う。
しかし気持ちを言葉にして表現するということは、人が人の間で生きるために、文字通り人間として生きるためには避けて通れない技術だと恥ずかしながら四十代半ばにして身に染みてわかった。
おそらく大半の人はそこまで真に受けないのだと思う。同じような物語を読んで育ったはずなのにみんな上手に言葉を使っている。口が上手いのは悪いことで口下手な方がいいなどは幻想にすぎなかったようだ。
若い頃はまだよかった。上手く説明できなくても許されたし、能力の有無の方が人とうまくやる力よりも重視されていたと思う。
しかし年齢を重ねるにつれて言葉を使うことの重要性が上がってきて四十代になるとこのままではまずいと気付いた。
家族ができ、守るものが増えてくると色々なことが起こり自分の言語化能力の低さからもどかしい思いをすることが増えてきた。
今さらながら練習をしていこうと思う。
こうしてブログを書いているのもその一助になればと思う。
言葉の持つ力。それはとても偉大だ。
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